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本当に大切なもの

本当に大切なもの
昔々、誰かに聞いたお話です。
『本当に大切なもの』という、幸せとは何なのかを考えさせてくれたお話です。

神さまが、天使たちに「本当に大切なものを探しに行きなさい」と言いました。
天使たちは、地上に降りて様々な大切なものを探しに行きました。
宝石、富、地位、建築物、賞賛、祭り、その他の様々なものを天使たちは目の当たりにしていきました。

ある町に、「幸せに生きた人」がいました。
彼は、大成功を収め、死ぬ寸前まで人々の笑顔に囲まれていました。
その町の人々は、彼が死んだ後に、彼をたたえて彼の銅像をつくり、町の中央に祭りました。
その銅像は、住民たちが願いを込めて、色とりどりの宝石に包まれていました。
それは、彼を祭ることで、その成功と幸せをあやかるというものでした。
それは、「幸せの銅像」と呼ばれ、町の人々の誇りでした。

その銅像には、命と心が宿っていました。
町の中央にたたずむ彼は、一羽の渡り鳥と友だちになりました。
彼は渡り鳥とお話をします。
「君は、広い世界を渡ることができて幸せだねえ。」
「君は、たくさんの宝石を身に着けていて幸せそうだねえ。」

ある日、町一番の貧しい者が、その銅像の前で倒れていました。
それを見た銅像が言います。
「私の左腕の時計は、高価な宝石でできています。
これを持っていって売りなさい。」
銅像から宝石を受け取り、貧しい者は去りました。

ある日、病で親を失った子ども達が、その銅像の前で飢えてしゃがみこんでいました。
銅像は言います。
「私の右目は、サファイアでできています。
これを持っていってお金に変えて、食事をとりなさい。」
少年たちは大喜びで帰りました。

来る日も来る日も、銅像は自分の体の一部を人に分け与えました。
秋が過ぎ、冬を迎える頃、渡り鳥が言いました。
「僕はもうすぐ、次の町に行かなければいけない。
でも君と会えなくなるのは、寂しい。
また逢える日まで、さようなら。」
銅像が言いました。
「待ってくれないか。
君がいなくなれば、僕は悲しい。」
そうして、渡り鳥は町に残り、その冬を銅像と共に過ごしました。

春が来るころ、銅像には身に着けているものは何も無くなりました。
すべてを、必要としている者にあげたからです。
その頃、渡り鳥はひと冬の寒さが身に染みて、亡くなりました。
鳥は最期に言いました。
「僕は、最後まで君と一緒に過ごせて幸せだったよ。」
銅像は泣きました。
「君は、本当は次の町に行って方が良かったかもしれない。
僕は、自分のわがままで、大切な友達を失ってしまった。」

宝石をすべて失い、友を失い、泣いている銅像を見て町の人たちは言いました。
「こんなみすぼらしい銅像はない。
これは、不幸の銅像だ!」
そして、みんなで叩き壊してしまいました。
こうして、銅像は友達は死に、身に着けている宝石を失い、とうとう壊されてただの銅の塊になりました。

そこに、一人の天使が降りてきました。
天使は、銅像の亡骸である、銅の塊を神さまのもとに持って行きました。
それを手にした神さまは言いました。
「これは、本当に大切なものである。」
このお話は、これで終わりです。

このお話、すごく好きなんです。
すべてを失ったとしても、失敗を犯したとしても。
それが思い遣りから来るものだったとしたら、それは大切なものです。

世間での成功や幸せの基準からすれば、この銅像は地位や名誉や財も友だちも失った、愚かな男です。
でも、本当に大切なものという基準で見れば、とても尊いものですね。
彼は、誰からも賞賛されなくても、人知れずに誰かを救っていたのです。

僕はね、資本主義の次の社会は、こういう社会が来ると思っているんです。
本当に大切なものを、尊いと思える社会。
でもそのお話をすれば長くなるので、また。














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